【徹底比較】再エネ調達の最適解は?オンサイト発電・オフサイト(自己託送)の違いを解説
2025年12月22日
目次
- ▸ 再エネ調達の2大ルート:『設備導入』か『価値購入』か
- ▸ 【設備導入型】オンサイト・オフサイトと所有形態の徹底比較
- ▸ 【環境価値購入型】手軽に始められる2つの手法とコストの課題
- ▸ 自社にとって最適な手法を判断する3ステップ
- ▸ 再エネ調達はユアサにお任せください
カーボンニュートラルへの対応が急務となる中、
「再エネを導入したいが、手法が多すぎて自社に最適なものが分からない」というご相談が非常に増えています。
再エネ調達の手法は「自ら設備を導入して電源を確保する方法」と「再エネ電力メニューや証書を購入する方法」の大きく2つに分かれます。
この違いを正しく理解できていないと、
「長期的に見て電気代の負担が重くなってしまった」「せっかくコストをかけたのに、国際的な評価基準を満たせなかった」という事態を招きかねません。
本記事では、各手法の違いと企業の状況に合わせた選び方のポイントを、専門的な視点から分かりやすく解説します。
再エネ調達手法:『設備導入』or『価値購入』か?
再エネ調達の全体像を把握する際、
まず理解すべきは「太陽光発電など設備導入による再エネ調達か」それとも「環境価値を購入する方法か」という違いです。
その中で、細かく分けると6つの手法に分類されます。下記は各手法の全体概要をまとめた図表です。

①自ら電源を確保する「設備導入型」の特徴
「設備導入型」とは、自社の敷地内(オンサイト)や離れた場所(オフサイト)に、太陽光発電などの再エネ設備を設置して電力を確保する手法です。
この最大のメリットは「追加性」がある点にあります。
追加性とは:自社の投資によって世の中に新たな再エネ電源が増えることを指し、RE100などの国際イニシアチブにおいて最も高く評価される要素です。
【メリット】
■ 長期的な電力コストの固定化・削減(賦課金の影響を受けない)
■ 災害時の非常用電源として活用可能(自立出力機能がある場合)
■ 「新しい再エネ設備を増やした」という高い環境価値(再エネの追加性)
【デメリット】
■ 設置場所(屋根の強度や敷地面積)の制約がある。
■ 設備投資または長期のサービス契約(PPA・リースなど)が必要。
②手軽に導入できる「環境価値購入型」の特徴
一方、「環境価値購入型」は、小売電気事業者が提供する再エネプランに加入したり、非化石証書などの「証書」のみを別途購入したりする手法です。
最大の魅力は「即効性」と「手軽さ」です。
【メリット】
■ 初期投資が不要
■ 契約の切り替えや証書の購入だけで、明日からでも「再エネ100%」を謳える
■ 自社で設備をメンテナンスする手間が不要
【デメリット】
■ 中長期的な電力コストの上昇リスク
■ 再エネ賦課金の削減には寄与しない
■ 追加性が低いため、将来的な評価基準の変更に弱い可能性がある
①【設備導入型】オンサイト・オフサイトと所有形態の徹底比較
ここからは、それぞれの手法について詳しく見ていきたいと思います。
設備導入を検討する際、次に考えるべきは「どこに置くか」と「誰が所有するか」です。
オンサイト発電(敷地内設置):自己所有とPPAの違い

工場の屋根や店舗の駐車場などを活用する「オンサイト型」は、最も効率的な再エネ活用法です。
送配電網(系統)を介さずに直接電気を消費するため、託送料金がかからず、コストメリットが出やすいのが特徴です。
| 項目 | 自己所有型 | PPA(第三者所有) |
|---|---|---|
| 初期投資 | 企業が全額負担 | 0円(PPA事業者が負担) |
| メンテナンス | 企業が責任を持つ | PPA事業者が実施 |
| 電力料金 | 自家消費分は無料 | PPA事業者へサービス料金を支払う |
| 資産計上 | 必要 | 不要(オフバランス) |
| 契約期間 | なし | 10年〜20年程度の長期契約 |
自社に投資余力があり、20年以上の長期スパンでコストを最小化したい場合は「自己所有」が適しています。
一方で、初期費用を抑えつつ管理の手間を省きたい場合は「PPA」が有力な選択肢となります。
オフサイト発電(遠隔地設置):自己託送とコーポレートPPA

「屋根の面積が足りない」「本社ビルでは発電できない」という場合に有効なのが、離れた場所に専用の発電所を作る「オフサイト型」です。
自己託送: 自社で遠隔地に発電所を設置し、一般の送電網を利用して自社拠点へ送電する仕組み。
コーポレートPPA: 発電事業者から、送電網を経由して直接再エネ電力を長期間購入する契約。
これらは大規模な電力需要をカバーするのに適していますが、送電網を利用するための「託送料金」が発生する点に注意が必要です。
②【環境価値購入型】手軽に始められる2つの手法とコストの課題
「いますぐにCO2排出量をゼロにしたい」という場合に利用されるのが、以下の手法です。
再エネ電力メニューの契約
現在契約している電力会社、あるいは新電力会社が提供する「再エネ100%プラン」などに切り替える方法です。

手軽ではありますが、通常、市場価格に一定のプレミアム(上乗せ料金)が加算されます。
毎月の電気代としてコストが流出していくため、「コストをかけているが、資産は残らない」状態であることを認識しておく必要があります。
環境価値証書の購入(非化石証書・グリーン電力証書など)
電気の契約はそのままで、排出権としての「価値」だけを証書として購入します。

■ 非化石証書::非化石電源(再エネや原子力)から作られた電気の環境価値を分離して証書化したもの。
■ グリーン電力証書: 再エネによって発電された電気の環境価値を証書化したもの。
■ J-クレジット::省エネ設備の導入や森林管理による温室効果ガスの削減・吸収量をクレジット化したもの。
これらは非常に柔軟性が高いですが、需給バランスによって価格が変動するリスクがあります。
自社にとって「最適な手法」を判断する3ステップ
迷ったときは、以下のステップで検討を進めるのが鉄則です。
ステップ1:現在の電力使用量と敷地・屋根面積の把握
まずは自家消費による調達を最優先します。
「そもそも現状どのくらい電力を消費しているのか」
「自社拠点でどのくらい設置面積があるのか」
「発電容量のポテンシャルはどの程度あるのか」などを把握することが重要です。
下記は、ユアサ商事が提供する太陽光発電設備の簡易シミュレーション(無償)です。
設置場所や電力契約など、最低限の情報で概算での設置容量や初期投資額が簡単に算出可能です。
ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。
※ 詳細な設計や御見積もご対応可能です。その場合は図面やエネルギーデータなど、必要資料をご準備いただく必要がございます。

一般的に、敷地内の屋根や遊休地などに敷設する「オンサイト自家消費」が最も経済合理性が高くなります。
まずはオンサイトで最大限の導入を検討し、それでも足りない分を自己託送などで補うのが最も効率的な手順です。
ステップ2:『自己所有』か『PPA』かの検討
次に、資金調達の考え方を整理します。
■ 自己所有向き: 内部留保を活用したい、長期で考えた際のコストを抑えたい、自社で保守管理ができる。
■ PPA向き: 資産として持ちたくない(オフバランス化)、初期投資を他に回したい、メンテナンスを外注したい。
最近では、まず一部を自己所有で導入し、残りをPPAで拡張するといったハイブリッドな手法も選ばれています。
ステップ3:脱炭素の目標時期と「追加性」の必要性
最後に、対外的な宣言(RE100, SBT等)や、主要な取引先からの要求レベルを確認します。
「ただ再エネであれば良い」のか「追加性のある再エネが求められているのか」によって、
証書購入で済ませるか、太陽光発電などの設備導入まで踏み込むかの判断基準の1つとなります。
再エネ調達はユアサにお任せください
ここまで見てきたように、再エネ調達の手法は多岐にわたり、単に電気代を払うだけの「コスト」にするのか、自社電源という「資産」にするのかで、10年後の経営基盤は大きく左右されます。
最適な調達ルートの選定には、設置ポテンシャルの把握や屋根の耐荷重確認、詳細なシミュレーション、最新の補助金情報の収集など、多角的な専門知識が不可欠です。
ユアサ商事では、商社としての広範なネットワークと知見を活かし、
お客様の拠点状況に合わせた最適な手法や設計をご提案します。持続可能な経営基盤を構築するために、まずは弊社の診断サービスから、脱炭素への第一歩を踏み出してみませんか。
